第19章 松野たちのすれ違い
「いやー……マジごめん。てかさ、気になってたんだけど、あれ何もらってたの?」
数分前とは打って変わり、おそ松くんは軽快に私に話す。
「あっ、あれ? あれは……」
私は校外研修でチョロ松くんからもらった缶バッチをポーチに付けていたので、おそ松くんに見せてあげた。
「なんかガチャガチャで1回目にいいのが出なくてあげるって言わ……」
「あー!!!」
おそ松くんは驚いた表情で大きな声を上げた。私もそれに驚き、
「ちょっ、おそ松くん、ここ図書……」
「チョロ松のやつ……レイカにあげるやつ、松野ちゃんにもあげてたのかよー」
おそ松くんは腕を組み言い出す。私は、
「えっ、レイカって?」
私はおそ松くんの言っていることがいまいち理解できなかった。
「ん? あぁ、レイカってのはチョロ松が追っかけてるアイドルでね。たまたまこの前、この缶バッチとおんなじようなのを見つけたんだよなー……レイカ宛ての手紙と一緒にさ」
おそ松くんはさらっと話す。私はその話を聞いて、
「えっ、チョロ松くんってアイドル好きなの?」
という疑問が浮かび、もう一度聞いてみた。あの真面目なチョロ松くんがアイドル好きというのが想像つかなかったから。
「えっ、松野ちゃん知らなかった? あいつ、ドルオタだよ」
おそ松くんは真顔でそう言った。
「そうだったんだ……知らなかった……なんか意外」
私はそう言うことしかできなかった。