第19章 松野たちのすれ違い
私は落ち着いて、
「だからあの時……校外研修のこととか私もう気にしてないし。後コンビニでのこととかさ……なんで帰っちゃったの? もうさ……ああもうなんなの!? 私が悪いことしたなら謝るしだから……」
「ちょっと待って!」
そう言いながらおそ松くんは立ち上がり、机越しに両手を伸ばして私の両肩に手を置いた。
「まずここ、一応図書室だから……」
結局、思い上がって声が段々と大きくなっていた私。おそ松くんの言葉と行動で冷静になった。その後落ち着いて、おそ松くんの方を向いて、
「ごっ、ごめん……」
と謝った。おそ松くんは私の肩から手を離し座ると、
「いや、俺の方こそごめんな……水族館の時は何も考えずにあんなことしちゃって……声だけかければ良かったのに。あの時は本当にごめん」
しかし、おそ松くんの話はこれで終わらなかった。
「でもその後さ、俺、見ちゃったんだよ。松野ちゃんがチョロ松と会ってるの。おみやげ屋にいる時にガラス越しから見えたんだ。それでその時にチョロ松からなんかもらってただろ? でさ、そのもらってる時の松野ちゃんの顔が嬉しそうで……もしかしたら俺とのこと言って、慰めてもらってたのかなって」
(えっ……見られてたの……)
思わず恥ずかしくなってしまった。その後もおそ松くんの話は続く。
「だからコンビニでもさ、俺だけ特別とか嫌だなって思っちゃって。あの時逃げちゃったんだ。ほんと色々とごめん。ちゃんと全部、話せば良かったのにな。かっこわり」
おそ松くんは照れながら、今までの気持ちを全てを語ってくれた。私はその言葉に感慨深い気持ちになった。
「そうだね……話しあえば良かったね。あー、スッキリした!」
私は座りながら背伸びをし気持ちを整えた。それから、
「俺もスッキリだー! よし、この話は終わり!」
とおそ松くんは両手をあわせて一度、パンッと音を鳴らした。