第16章 六つ子に生まれたよ
(えーーー!!! まさかそうだったとは……)
もちろん想定外。私はその驚きの気持ちを押さえつつ、
「あっ、そうそうそうだったよね……いやー……すっかり忘れてた。前にチョロ松くんから聞いたこと。うん、だから六つ、この前教えてもらった色のが入ってると思うから、他の5人にも渡してあげて」
思わず嘘をついてしまった。チョロ松くんに教えてもらったというのは今考え付いた口実である。
(チョロ松くん。ごめん)
「やっぱそうだったんだ。サンキューな」
しかしおそ松くんは私の発言が嘘だと知らずに普通に笑顔でお礼を言ってくれた。しかし私は納得していなかった。
(今日って誕生日だったんだ……でもこれで本当に良かったのかな。だっておそ松くんには色々してもらっているのに……他の5人とは違うのに……)
だからこそ私は、
「あっ、おそ松くん……放課後コンビニ行かない?」
私は思わずおそ松くんを引き止めてしまった。
「えっ、なんで?」
おそ松くんは首を傾げて話す。そりゃそうだ。
「あっ、買いたいものがあるんだよ……でおそ松くんと行きたいなって。どうかな?」
これで理由になっているのかは分からない。けどおそ松くんはあっさり、
「まあいいよ」
と答えてくれた。
「あっ、ありがとう。それじゃ放課後ね」
と言い私はすぐに教室を出て行った。少し落ち着いたところで我に返る。
(これでおそ松くんだけにってできるよね……また仲良くなれるよね……)
意を決した覚悟。後悔はしていなかった。