第14章 チョロ松くんとの会話
おそ松くんに言われた通り、外に出て待っていると、
「こんにちは」
と見覚えのあるパーカーを着た男子に声をかけられた。
「こっ、こんにちは……」
私も挨拶を返す。すると、
「あっ、やっぱり松野さんだった」
(聞き覚えのある声にパーカー……けど何松くんだろ……)
少しボーっと考えていると相手から、
「もしかして僕のこと覚えてない? あの時少し話したチョロ松ですよ」
私はハッっとして、
「あっ、チョロ松くん……ごめんね、私人の名前覚えるのとか苦手で……」
(ましてや六つ子だし)
申し訳ない気持ちになった。しかし、チョロ松くんは優しい笑みで、
「しょうがないよ。だって僕六つ子なんだもん。で、松野さんは今1人?」
と話してくれた。少し心が軽くなった。
「うん……でもさっきまでおそ松くんといたんだ。なんかおみやげ見てくるから先に外で待っててって言われて……」
私はその後、先ほどおそ松くんとあった出来事をチョロ松くんに話した。ちなみにペンギンショーであったことは恥ずかしかったので、詳しい内容は言わず、“アクシデント”という隠語を使い説明した。一通り話したところで、
「おそ松兄さんとそんなことが……もしかしてさ、おみやげって松野さんになんじゃないかな?」
私はドキッっとしてチョロ松くんの方に耳を傾けた。
「だってそのアクシデントについては詳しく知らないけど、おそ松兄さんなりになんか悪いって思ったんじゃないかな。それに家族のおみやげは昨日話し合って割り勘にしようって決めて、僕が買うことになってるからね」
とチョロ松くんは持っていたおみやげ屋の袋を持ち上げて、私に合図をするように見せた。
(なるほど……)
私から見たおそ松くんの性格は、自己中心的なところもあるが、一応人思いなところもあると思っている。なのでチョロ松くんの話を聞いて納得するところもあった。