第9章 松野班
「よし、全員揃ったな。じゃあまず自己紹介から……」
とおそ松くんが言ってるそばから、
「おい、後班作ってないのお前らだけなんだけど……」
後ろから担任の先生が声をかけにきた。
「げっ!」
おそ松くんは驚く表情をみせる。私は、
「あー、分かりました。とりあえず班作っちゃいます」
と空気を戻した。
「まあそうしてくれよ。はい」
私は班の用紙を担任からもらった。そして自分の名前を書いた。
「はい、他の子も書いて」
と言い用紙の上に自分のペンを置く。それにつれて班員は名前を書き始めた。
(女の子さんと男の子くんね……)
「後はリーダーだけど……どうする?」
私はそう言ってみたはものの、
「そりゃ松野ちゃんでしょ?」
とおそ松くんが言い出す。
「えっ、なんで?」
急なことで驚く私。おそ松くんは、
「だって今仕切ってたの松野ちゃんだし」
と言う。
(そういえばいつのまに仕切ってた……)
「どう、他のみんなもそれでいい?」
おそ松くんがそう聞くと後の2人も同意してくれた。
「じゃー決まりな!」
(また私のこと無視!? 確かに拉致あきそうにないけど……)
「でもおそ松くんやればどうなのよ? おそ松くんだって充分リーダーみたいな感じじゃん」
少し反論してみる。
「えっ? だって俺スマホ持ってねーもん。ほら、リーダーは連絡先書くみたいなんだぜ」
と用紙を指差しながら言うおそ松くん。確かに用紙にはリーダーの連絡先を書くように指示されている。そういえばおそ松くんがスマホをいじっている姿を私は見たことがない。
「だからさー……」
「あー分かった分かった。やりますやります」
私はこれ以上の反論はやめた。それこそ拉致があかない。私は自分のところにリーダーと分かるよう印を付け、連絡先を用紙に書いた。