第8章 松野困る
おそ松くんに一緒の班になろうという誘いを受け入れるべきか悩んでいる時、ある視線を感じた。その方へと顔を向けると席に座ってじっとこちらを見ている女の子がいた。私は、
「ねぇ、おそ松くん。あの子1人かな?」
気になって相談してみた。
「あー……確かにそんな気がする。よし、じゃああの子誘って4人で組めばいいんじゃね? 俺ちょっと行ってくるわ」
そうと決まればおそ松くんの行動は早い。すぐさま視線の感じた女の子の方へ声をかけにいった。待つこと数分、
「オーケーだって!」
おそ松くんは両手で大きく丸を作り、合図をしてくれた。その行動にクラスの生徒は視線を向けた。そして周りから聞こえた言葉は、
「またかよ」
や、
「やっぱあいつ面白いよな」
だ。私も同意見だ。けど、
(ほんとはもっと面白いんだよな……)
そう思えるのはきっと、同じクラスの学級委員としてやっている私だけなのかもしれない。女の子は立ち上がり、おそ松くんと共にこちらへ向かってきた。そして着くとおそ松くんは、先ほど言っていたもう1人の班員の男の子を手招きして呼び寄せた。こうして私たち4人で校外研修の班は組まれることとなった。