第8章 松野困る
学級委員の作業をしてから数日後のHRにて、
「今日は校外研修の班を決めるぞー。ちなみに今日は決めてもらうだけで、来週はしおりとか見ながら班でどこに行くのか決めてもらうからな」
校外研修とは、5月にある学校行事である。これを機にクラスの友達と交流関係を深めようと毎年行われているらしい。しかし、
(班を決める……どうしよう……)
私はクラスに仲のいい女子がいない。元々小さい頃からコミュ障の私。高校になってからも変わらず……というか変わろうとはしていた。しかし、松野という苗字、そして学級委員。色々注目を浴びてしまったせいか、暇がなかったせいか、高校デビューを完全に逃していた。
「じゃあ自由に席立っていいから、3人から6人くらいの班ができたところから班の用紙取りにこいよー」
担任の先生がそう言い終わると、早速生徒たちが班を作り出し、どんどん用紙をもらっていた。
(私も早くしないと……でもどうしよう……)