第46章 おそ松くんとチョロ松くん
「たまにさ、兄弟の僕でもおそ松兄さんの気持ちが分からない時があるんだよね。個人的にはきっと長男だから誰に頼ればいいのか分からない。だから誰にも言えずに溜め込むとか……長男だから弟たちに譲るとか……はないか。けどやっぱおそ松兄さんに限ってそんなことは有り得ないかな」
チョロ松くんのおそ松くんに対しての一人喋りはよく続いた。そして考えた。おそ松くんはチョロ松くんとは違いバカである。しかしそんなおそ松くん想ってくれる兄弟関係。私は聞いていて知らない一面が知れたようで結局は嬉しくなっていた。
「とにかくさ、おそ松兄さんの本当の気持ちは分からないけど、決して松野さんに好意がない訳じゃないってことだよ! まあそう言っときながら好意がないとか言われたらそれは僕からおそ松兄さんになんか言うよ」
チョロ松くんは私が告白を断った後でも優しい対応をしてくれた。私はまた嬉しくなった。だからこそ、
「ここまでしてれるなんてほんと優しいね。ありがとう」
と涙目で答えた。それを見たチョロ松くんは、
「ええっ! 僕なんかした? ほらほら……とりあえずこれ」
と焦りつつも自前のハンカチを渡してくれた。
(なんでこんな優しい人なんだ)
と告白を断ったのをほんの少しだけ後悔した。けど優しいだけでは私の心は落ちなかった。つまりはおそ松くんの優しいところ、プラス人を惹きつける魅力。色々考えてはみたがやはりおそ松くんが好きな気持ちが変わることはなかった。