第32章 チョロ松くんとの花火大会
私はチョロ松くんに逆走していた理由を話すと、
「連絡か……確かに人多いと電波拾うのってかなり大変かもだよね」
と笑いながら言う。
「だからごめんね……今から連絡するから……」
と言いつつ私は女の子に、
『財布平気? 花火までに間に合いそう?』
と短文だがメッセージを送信。
(でも7時にはあっち戻らないとだよな……)
「どう、できた?」
とチョロ松くんは心配そうに私を見る。
「うん、なんとか平気だよ」
「よかったー。てか松野さんって携帯持ってるんだ」
「あっ、うん……」
「じゃあさ……ぼっ、僕のと交換しない?」
「えっ、チョロ松くんは持ってるの?」
「うん……」
正直驚いた。六つ子は全員持っていないとばかり思っていたから。
「そうなんだ……うん、いいけど」
とお互いの連絡先を交換した。しかし何故こんなにも突っかかった言い方なのか。少し不思議だった。
「あっ、ありがと……」
チョロ松くんは少し照れた表情で話していた。