第32章 チョロ松くんとの花火大会
(うわっ……人多い……)
既に時間は花火大会の開始30分前になっていた。なので人が花火が見えるところまで向かおうとごった返している。私はそこを逆走している。
(端通るのもきつい……でもとりあえずは人のいないところ……)
人に飲まれそうになりつつ歩くが、服装が浴衣なので履きなれない下駄のせいで足が痛い。思わずよろけそうになったところで人の手が私の手首を掴んできた。
(えっ……誰……)
上を見上げるとかすかに見え聞こえたのは、
「大丈夫ですか」
という声。その声の主はチョロ松くんであった。