第2章 〜陸上部〜
「キミ、櫻井の言ってた見学者の子だよね」
陸上部の顧問らしき人が僕に聞いた。
僕は、はい、と答えた。
「運動...できる?うちの部けっこう練習とかキツイんだけど」
やっぱそうか...。
翔くんって体力あるし
運動神経良い方だから、
キツく感じない。
僕は、ずっとそう思っていた。
やっぱり当たっていた。
「多分、大丈夫です。まだ分かりませんけど」
僕はそう答えると、陸上部の練習を見ていた。
「うちの陸上部のNo.1は大野なんだ」
顧問の先生はそう呟いた。
「大野って、大野智さんの事ですか?」
僕は聞いた。
「知ってるのか?あいつ、運動できなさそうに見えて一番凄いやつなんだよ。体力はないけどな(笑)」
あの人が?
僕は、ありえないと思いながらも、
大野さんの姿をじっと見ていた。