第1章 勧誘
まず目に入ったのは、主将の澤村さん。
普通に見ると、そこまで怖くなさそうなんだけど、怒ると怖い人なんていっぱいいるからまだ分からないものだ。
そしてそのまま次を見ると、高身長の眼鏡をつけた彼が見えた。
どうやら1年らしい。
すると、ふとその人と目が合う。
思わず姿勢を正すと、そんな彼はすぐに私から目を反らした。
「あいつは、日向達と同じ入部してきた1年だよ。月島って言うんだってさ。であっちが山口。すぐにってのは難しいから、ゆっくり覚えていこうな」
その人達を見て首を傾げていると、隣にいた菅原さんが丁寧に優しくこう教えてくれた。
その親切に感謝しながらも頷く。
大丈夫、名前なら翔陽から聞いてたからすぐ覚えられる。
改めて端から見直すと、その山口と目が合った。
しかし、次の瞬間彼は顔を赤くしながら私から勢いよく目を反らしたのだ。
さっきから皆、失礼すぎじゃないか。
なんて、変な所で怒って次は翔陽チームを見た。
案の低、田中さんと目ががっつり合う。
あぁ、今さっき目を反らすことに怒ったからか、田中さんはまったく私から目を離さなかった。
なので仕方なく私から目を離す。
それから、私は影山を見た。
彼はもうバレーに集中しているようでコートしか見ていない。
……さっき、言ってくれたことが本当なら、彼はとても優しい人な気がした。
そして、翔陽を凄い形相で睨んでやる。
すると翔陽は顔を青くしながらペコペコペコペコと頭を下げてきた。
本当に…………翔陽は勝手なことを。
そう思っていたのに、これから始まる試合を見ることによって私の考えは大きく変わることとなる。
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試合開始から数分。
それぞれが皆違う技でずば抜けていて、私は僅か数分で試合に圧倒されていた。
その中でも、影山のあの正確すぎるセッターにはさっきから驚きが隠せないでいた。
それに……悔しいけど翔陽も予想以上に凄かった。
あのジャンプ力。
田中さんもあの威力は凄まじかった。
攻撃力が、かなり高いチームである。
それに、もう片方のチームは守りが凄かった。