第1章 勧誘
そう納得していたら、何故か私は翔陽にガン見されていた。
なんか、まるで飼っている犬がおやつ欲しさにうるうるとした目でこっちを見ているようだ。
『……何よ翔陽』
耐えきれなくなって翔陽に問いかける。
すると彼は、何とも当たり前のように私に話しかけてきた。
「お願い!!今日の3対3、応援に来て!!」
『……………………はぁ?』
目の前で手を合わせて頼み込む翔陽。
そんな彼の言葉に私は思わず変な声を出してしまった。
いやだって、突然応援に来てなんて言われても困る。
そもそも私はバレーについてまったくルールとか分からない訳で、更にキャーキャー言うギャラリーでもない。
なのに何故私に応援を頼むのか、凄く不思議であった。
「その…俺の味方側に綺麗な人可愛い人好きな先輩がいて……えっと…、入学したても皆が見る程綺麗……だから…その………………」
『…………………………………』
翔陽は、天然なのか。天然なんだろうか、きっと天然だ。
そう解釈して私は翔陽をジッと見つめた。
「な、何だよ悪いかよ~!!」
『……ふふっ…』
「わ、笑うなー!!!」
耳まで真っ赤にした翔陽。
何だかとても可愛くて私は小さく笑ってしまった。
なんか、翔陽に言われたなら行ってみてもいいかな、なんて思う。
そう思って私は外を眺めた。
『別にいいよ、翔陽の部活姿も見てみたいしね。ただ、今日だけよ?』
「ま、マジ!!?」
許可を出した瞬間パーッとまた笑顔になる翔陽。
そんな彼を見て私は笑った。
「あっ、でも今の俺の言葉は忘れろよな!絶対だぞ!!」
『はいはい』
まだ恥ずかしがる翔陽の言葉に軽く答えて私は彼を少しからかってみた。
こんな人、初めてだ。
心を開けて楽しく笑い合える人。
翔陽の側は、とても居心地が良い。
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そして私は今日、これから烏野高校バレー部の試合を見に行く。
『…落ちた強豪、飛べないカラス…か…』
手元に持った資料をめくり呟く。
…そう、昔は強かったんだ。あの"小さな巨人"がいたころは。
でも、また復活してこの名前を変えることができたのなら。
そう期待を抱いて私は体育館へ向かった。