第1章 勧誘
そのまま、頭をグラグラ揺らし始めるほたるに私はとにかく謝った。
「いい度胸してるよねマネージャーの癖にさ、ねぇ?山口もそう思うよね?」
「えっ、あっいやあのツッキー…その…さんが死にそうなんだけど…」
「思うよね??」
「あ、はい」
と、巻き込まれる山口はほたるの勢いに負けてこう答えた。
いや山口くん、そこは助けてよ。
なんて思っていたら、止めてくれた誰かの手。
「ほら、そこまでにしろ2人共。どっちも悪気はなかったんだしな」
「いやこのアホマネージャーには確実に悪気ありましたけど」
なんて、折角注意してくれた澤村さんに反抗するほたるを見て私は深く溜め息をついた。
皆が気の毒そうな顔をして見守る中とにかくほたると距離をあけて翔陽の近くに避難する。
『元はと言えば、ほたるが悪いんじゃない。最初にボール当ててきたのはほたるよ』
そして、もっともなことを言えば、何故かほたるは凄く怒った顔をしながらさらに私に近づいてきた。
なので慌てる翔陽に何だか目配りをする私。
そして
「うっざ」
の一言を呟きほたるはなんとまたバレーボールを今度はわざと投げてきたのだ。
私はそんなバカじゃない。
ので、勿論そのボールは避けることができた。
しかし──
「………ってぇな……………」
『。』
なんとそのボールが当たった人が、運悪く翔陽の近くにいた影山だったのだ。
なんか私、怒らせちゃいけない人を次々怒らせてる気がした。
「おいボゲェ!!!!」
『えっ、なんで私!?』
と、何とも大変なことになってしまった。
今のボールはほたるのせいなのに、私が避けたから怒ったんだと。
何とも理不尽であった。
しかも、何だか怒り出した影山をもっと挑発するほたるに、怒る元気さえなくなっていた。