第1章 勧誘
取り合えず、私に当たったボールを持ち月島に向ける。
それを見た周りの人は、何かを察したようでこっそり離れて行った。
「何?弱いボールでも当てる気?別にいいよ、当ててみなよほら早く」
なんて月島が言う。
だから私は、遠慮しなくていいと悟ったのだ。
いやほんと、元々遠慮する気なんてないけど。
『謝れこの……ほたるー!!!!』
ガンっ─────────
…………………
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静まり返る体育館。
たくさんの人の視線と肩を押さえて凄い形相で睨んでくる月島。
─殺されそうな私─
やがて、暫くの沈黙の後、月島が……いやほたるがのそりのそりとこちらへ近づいてきた。
体育館は、何だか異様な空気に包まれている。
そして、
「…ねぇ、普通に痛いんだけど??」
と、まるで寝言のようにボソッと呟いたほたるは、そのあとすぐに私の頭をつかんできた。
……なんか、まずい気がした…
「ねぇ、痛いんだけどアホマネージャー??」
『………………なんかごめんなさい……』
「ねぇ?どう責任とるのさ、しかも何なのあの怪力。バレーやってたんじゃないのなんであんなとぶの?」
と、そんな話を一方的に月島が言った後、私は自分がさっきやった行動に酷く後悔することとなるのだった。