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とある双子たちのお話

第1章 実渕玲央の双子の話



『莉央にーには好きなバレーをさせて欲しい』



双子の兄から送られてきた動画は、大事な幼馴染で。
その幼馴染が、熱く語る姿に莉央は笑顔を浮かべた。



(本当にはわかってる)



「なになにー?
莉央ちゃんの笑顔、初めて見た!」

「うるさいです、大王先輩」

「ひどい!
俺そんな子に育てた覚えありません!」

「俺はキャプテンに育ててもらった覚えありません。
そもそも及川さんが育てたら、まともに育ちそうにないです。」

「え?
そこまで言う?」



莉央の表情を見たのだろう。
チームメイトでもあり、部活の先輩でもある及川徹が興味津々と見てきたことに、少し腹が立ちながらも、しっしと手を払いながら動画をしっかりと見直した。
いつも笑顔の彼女が、真剣な顔をして伝えている姿は嬉しくて。
彼女の視線の先に映る赤髪の青年は、自分より年下だが目の前にいる及川と同じキャプテンとして君臨している人物に食いついていて。
あぁ、また大変な思いしてんなと苦笑浮かべつつ、顔を赤くしていく様子は、可愛らしさしか思えなくて。
今度会うときは、可愛がってあげるしかないと思った。



「実渕の彼女か?」



いつの間にか及川以外のメンバーが覗き込むように携帯を見ていることに、今更ながらに気づき、携帯を上着のポケットに直した。



「それがなにか?」

「え!?
なに!?
お前彼女いたの!?」

「…幼馴染ですよ」



しつこく聞いてくるメンバーにため息をこぼしながら答えた。
めんどくさい。
だが、実渕の目には普段なら気にしそうにない、岩泉が思いにふけっている姿に首を傾げることになった。



「どうしたんスか、岩泉さん」

「…その幼馴染、洛山のバスケ部マネージャーじゃねーか?」



まさかの人物からの問いに、莉央は息を止めた。
一度も家族のことは話したことがない。
出身地だけは伝えてはいるが、それで数ある学校の中から洛山だけ選ぶことなど、出来るはずもなく。
今先ほどの映像でも、が着ていたのはジャージだが、拡大すれば見えるぐらいの小ささなのに。



頭の中が混乱で埋まっていった。



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