第1章 実渕玲央の双子の話
「んー
実渕さん家には、綺麗な玲央ねーと
イケメンの莉央にーがいるよ?」
知らなかったの?
と、顔をキョトンとさせながら問いかけた。
はじめて知る名前に、葉山は実渕へと顔を戻した。
「そんな話聞いたことない!!」
「だって、話したことないもの。
兄弟の話だなんて、一度もなかったわけだし?」
「僕も知らなかったな。
実渕莉央、か」
だから、今ここでバレるわけにはいかなかったのだ。
赤司のことだ、何を考えているのかわかる。
ここに呼び出して、最悪このバスケ部に所属させようとする気だろう。
無理に、とは言わないだろうが、目で語ってくるものは絶対と言わざる終えないもので。
目をつけられた双子の弟に同情するために深く息を吐いた。