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とある双子たちのお話

第4章 黄瀬涼太の双子の話



(暇、ですね)



ベンチに座り、青空を眺めた。
待ち合わせしてた時刻より早めに到着してしまったらしい。
ぼーっと空を眺めた。

そんな彼を見て、通りすがりの女性たちは振り返り、絵になる彼を眺めていた。

黄瀬慶太。
黄瀬涼太の双子の兄だ。

涼太と違い、彼の髪色は黒。
モデルを務める双子の弟から貰い受ける洋服は彼にも似合うわけで。
好青年の印象を与えていた。



「あれ?
けーちゃん?」

「!
ですか」

「うん。
珍しいね、1人でいるの」

「確かに。
今日は友人と遊ぶ約束していたので、待ち合わせしていたのですが…」

「まだ来ないの?」

「はい」

「じゃあ、一緒に待ってあげる」



返事を聞くことなく、は慶太の隣に座った。
そのまま携帯をいじり出したに、慶太は苦笑を浮かべた。



「は遊びに来たのでしょう?
行かなくていいんですか?」



慶太からの質問に、無言で見ていた携帯を携帯に渡した。
Filoの画面。
宛先は双子の弟だ。
モデルの撮影が急遽入ったらしく、遊べなくなったらしい。



「ドタキャンですか?」

「うん」

「それで暇になったと…」

「うん」



横顔だが、どうやら彼女は寂しいらしい。
手を伸ばし、優しく頭を撫でた。
笑みを浮かべ直した幼馴染に、安心して、自分のFiloを立ち上げる。
宛先は双子の弟。
笑顔のスタンプ。



(後で覚えておいてくださいね)



ものすごい速さで既読されたが、何かを読み取ったのだろう。
返事がない。
満足そうに携帯をポケットの中へ直したと同時に、今日遊ぶ予定だった人物がこちらへ歩いて来ていることに気がついた。



「来た?」

「はい」

「じゃあ、私は帰るね」



慶太の変化も見逃すこともなく、は立ち上がった。
幼馴染だからこそ伝わる少しの変化。
過ぎ去ろうとしたの腕を、慶太は咄嗟に掴んでいた。



「けーちゃん?」

「も一緒に行きませんか?」

「え?」

「おー!
いたいた、KeI!
って…誰?」



現れたのは茶髪の青年。
大きな声で慶太のことを呼んでいた。
だが、その呼び方がまるでハンドルネームのようで。
も首を傾げることになった。


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