第2章 赤司征十郎の双子の話
とある高校で、リーグ戦が開かれていた。
レギュラーになるためのもの。
緊迫した雰囲気に、観客までもが真剣にことの流れを見つめていた。
リズムよく流れる音に、軍配がどちらに上がるのか予想もつかないほどだった。
「ここまでとはな」
試合が終わったのか、オレンジのユニフォームを着たメンバーがゾロゾロと集まりだした。
目に映るのは、同じオレンジのユニフォームを肩にかけた青年と、まだテニス用のユニフォームを着た赤髪の青年。
立海テニス部、部長。
幸村精一
VS
赤司統四郎。
赤司征十郎の双子の弟だ。
髪の色が派手ということもあり、なぜかレギュラー陣と仲良くなった赤司は、自分の力をなるべく見せずにリーグ戦に臨んでいた。
だからこそ、柳にとっても予想外なことが起き過ぎて、赤司用のノートが足りないと他人用に作ったノートを裏から書き出すほどだ。
だが、王者立海を率いる部長
幸村精一はその王者を難なく発揮させつつ、少しずつ点差が開き出していた。
「これ以上は赤司が持たないな」
真田の一言に、レギュラー陣は首を縦に振った。
ここまで付いてきたことに賞賛を送るが、それまでだ。
別格の力を持つ幸村に歯向かうことなど出来やしないのだ。
「赤司なら、幸村部長に勝つかなーと思ったんスけどねー」