第2章 火曜日
「ああ"!?マガジンに留め刺されんなら本望なんだよ、水曜派なめんなゴラ!」
「じゃバックナンバーの穴と心中すりゃいいだろ。丁度いいじゃねえか」
銀時がどうでもよさそうに鼻をほじりながら言う。土方がまた目を三角にした。
「どんな丁度よさだよ!?ふざけんなテメエ!首へし折るぞ!」
「へし折るってもうムチ打たれちゃってるこの可哀想な俺の首を?何、このマガジンバカは弱い者いじめしに病院に来たってわけ?あーやだやだ、ナースコール押しちゃおーかなー!病院でナースコールっつったら警察で言うところの通報と同じだかんね?スッゴいの来るよ?知んないよ、俺は」
「止めとけ。本物の化け物が来るぞ」
それまで閉まっていた銀時の隣のベッドのカーテンがシャッと開いた。
まるでダメそうなサングラスが濁った光をテレーンと反射する。
三人の目がまるでダメなグラサンに集まった。
「・・・ちょっと長谷川さん?アンタこんなとこで何やってンの?」
「昨日お前らのすぐ後に運び込まれて来ただろ?挨拶したじゃん。忘れちゃったの?」
「したっけ?」
銀時に振られて全蔵が気の入らない顔をした。
「さあ・・・。誰だ、このグラさん?」
「グラさんじゃねぇよ、まるでダメな男だよ。マダオだ、MADAO」
「あ?外人さん?」
「バッカ、この下敷きに小学生が落書きしたみてぇなスッテンテンの顔のどこに異国情緒があるっての?お前ホント見る目ねぇな。右が二丁目で左が銀座っつったら間髪いれずに右行っちゃう人だね、ハットリくんは。ニンニン」
「テメエがMADAOなんて抜かすからだろ?紛らわしんだよ。JAROが黙ってねえぞ。逮捕されっからな、いやマジで」
「月曜バカどもァ黙ってろ。長谷川さん、アンタ何だってこんなとこにいんだ?気が付きゃしょっちゅう入院してっけど、保険金詐欺かなんかやらかしちゃねぇだろうな?」
土方が眉を上げて睨み付けるのに、長谷川はブンブン手と首を振った。
「ば、ちげぇよ!保険金詐欺なんかやってねぇよ!大体そんなんやり方知らねえし!何ならHowto教えて下さい!」
「ダメだ。やっぱマダオはマダオだ。メダカはメダカだしカモメはカモメでマダオはマダオだ。おい、マヨネーズ、頭冷やしてよっく考えてみろ。この根っからのマダオに保険金詐欺なんか出来る訳ねえだろ?」