第6章 小学校中学年編
結局、ドレス一着と同色のリボン、それからヒールのないぺったんこのパンプスを買うことになった。
「またのお越しをお待ちしております」
勝った商品は後日届けてくれるということなので、帰りは手ぶらである。
「このまま帰るのも、なんかねぇ」
「何か用事でもあるのか?」
どうやら時間が空いたので直接家に戻るのはもったいないと言いたいらしい。
どこか行きたいところがあったら付き合ってくれるというので、ストバスへ行くことにした。
「買い物とかしなくていいの?」
母は服を買うとか、スイーツを食べたいとか、そこら辺のおねだりを予想していたようだが。
「普段から忙しいだろう? だから私の成長を見てもらいたくてな」
「これでも気にしてるんだぞ?」と笑うと、若干涙ぐんでいた。
「そうね……見せてもらおうかしら!」
「そして驚いてくれ!」
子供らしくない私だが、こんな日くらいは子供っぽくなってもいいだろう。
お店がある通りからストバスのある公園まではそこまで離れていない。
「走るぞ!」
「え、ちょっと。私はそんなに走れないわ!」
めったに繋がない手を掴んで、思いっきり引っ張った。
母がそんなに走れないのは承知の上、たまには振り回しても構わないだろう?
走れないと言いながらも引っ張られるままに走る母は、とても楽しそうであった。