第6章 小学校中学年編
くるくると回って鏡を見る。
軽いスカートが風を受けてふわりと舞い上がる様がとても可愛らしい。
「同色のリボンがございますが、どういたしましょう?」
「持ってきてもらってもいいかしら」
「少々お待ち下さい」
ドレスに夢中になっているうちにどんどん話は進んでいく。
私も女だから、多少興奮してしまうのは仕方ないだろう?
「乃亜ちゃん、ちょっといい?」
「うん?」
ちょいちょい、と手招きされて試着室から出る。
持ってきてもらったらしいドレスと同じ緋色のリボンを髪に当てられた。しばらく考えこむように無言になる。
「…………どうかしら、乃亜ちゃん」
決まらなかったのか、私にリボンを渡された。
ただのリボンではなく、よく見ると僅かな濃淡で花の模様が描かれている。
ただ、はっきり言ってわからない。さっぱりわからない。
普段からおしゃれとかやらないし、興味もないからな……気に入っても何が似合うのかわからない。
「……どう思います?」
結局プロに助けを求めることにした。
目線を向けると待ってましたと言わんばかりに微笑まれた。
「お嬢様の御髪はとてもお美しい銀色ですから、赤系統はとても良くお似合いになると思います」
うん。プロが言うなら間違いないか。美人さんのいうことだし。
「母さん、これで」
「わかったわ! やっぱり身内じゃ決められないのよねー。ひなちゃんなんでも似合うから」
「……親ばか」
「あら、褒め言葉ね」
店員さんには微笑ましいと笑われるし、私は恥ずかしくて赤くなるし、かんべんしてくれ……!