第6章 小学校中学年編
「パーティー?」
「今度会社の創立記念パーティーがあってね、お披露目しないかってお祖父様が仰っているのよ」
夕食時、さらっと突然知らされたパーティーとかいう日本には似つかわしくない単語。
いや、こんな家に生まれついたからには覚悟はしていたが……。いささか早すぎはしないか。
母さん、なんてことのないように言うことではないと思う。
あ、ちょっと前からママさん予備から母さん呼びに変えた。流石にママさん呼びを続けるのはちょっと、な。
「私、まだ小学生なんだが……行く必要はあるのか?」
お祖父様が関わってきている時点で回避不可能だとはわかっているが、とりあえず抵抗してみる。
「でも、もう小学生三年生でしょう? 乃亜ちゃんはしっかりしてるもの、大丈夫だって」
そこ?気にするところそこなのか?
思わず心のなかで突っ込んでしまったのだが、心だけでなく顔にも出ていたらしい。
「不満そうだけど、お祖父様からだから。パパが断れなかった時点で行くしかないのよ。諦めて?」
「……母さん、それはずるいと思う」
「ふふっ」
茶目っ気たっぷり顔で、可愛らしく笑った母の顔に、諦めのため息が漏れた。
きっと前世の私でも、母には敵わない。
我が母ながら恐れ入るよ、本当に。