第2章 プロローグ
意識が戻れば、耳に入るのは駅の喧騒。
ぼんやりと考え込んでいるうちにかなりの時間が経っていたらしく、電車の到着を告げるアナウンスが響いていた。
「間も無く〜番ホームに〜電車が到着いたしますーーーー」
周りは帰宅する学生やサラリーマン、OLばかり。他人を見る自分も、OLなのだが。
ぎゅうぎゅう詰になって帰らなくてはいけないのかと思うと、憂鬱でため息が出る。
息を吐いて、線ギリギリまで出ようとした時、後ろから男子学生たちの騒ぐ声が聞こえた。
「え……?」
気がついた時には背中に何かがぶつかる感触がして、踏みとどまろうと出した足は宙を切った。
悲鳴をあげたのは自分だったか、それとも周りだったか。
ホームに停車する予定だったとはいえ、電車はそれなりにスピードもでている。
こんな急には、止まれない。
(私は、死ぬ、のか?)
全てがゆっくりになって、喧騒も遠のく。
視界いっぱいに映る、ライトが眩しかった。
(死にたく、ない! こんなところでっ、死ぬわけには……!)
命の炎が吹き消される音が聞こえた、気がした。
そして、まるで電気が消えるように、視界には何も映らなくなった。
『ようこそ。イレギュラーの、七人目』