第2章 プロローグ
日常が非日常に変わるのは、ほんの一瞬のこと。
自分の部屋で起きて、会社に行って仕事して。
休みの日はバスケクラブにでたり、漫画を読んでゴロゴロ。
特にこれといった変化や刺激はなくても、それなりに満足していたはずだった。
ただ、時々考えてしまうことがある。
それが今日だった。
どうして自分はここにいるのだろうと。
昔は、学生時代はもっと輝いていたと思う。
夢がいっぱいで、希望がいっぱいで、楽しくて楽しくて仕方がなかったあの頃の自分が、今の自分を見たらなんと思うだろう。
汗水垂らして励んで、青春を捧げたバスケ。
社会人になってからも続けているけれど、昔のような希望は抱けなくなっていた。
彼らみたいに、もう一度輝けたらいいのに。
(もう一度、学生に戻れたら。私はもっと違った道を歩んでいるのだろうか)
漫画の、黒バスの彼らみたいに、自分の道を歩んでいくことができるのだろうか。
考えても仕方がないと、一人自嘲する。
(私らしくない。過ぎた過去を、現状を嘆いてどうするんだか)
二度と戻ることなどあり得ない過去にすがって、私は一体どうするのだろう?
ぼんやりとした意識を戻すように、二三度頭を振った。