第4章 小学校低学年編
休日、それも今日は日曜日だ。が、パパさんは仕事でいないし、ママさんもパソコンに張り付いていなくてはいけないらしい。
せっかくの休日、出かけられないことを悪いと思ったのか、ママさんが近所のバスケコートがある公園を教えてくれた。
ひゃっほーい! 思う存分バスケができるぞー!
ということで、公園に来たんだが……
「なぜにあいつがいる……」
小さな子供ばかりで使っている人があまりいないと言っていたコートなのだが。
コートでバスケをしている、というかボールを振り回している少年…非常に見覚えがあるのだが……
黒髪に鷹の目の持ち主、高尾和成。
「割と主要キャラじゃないか……」
どうしてこうも私のエンカウント率は高いんだろうか…
「見なかったことにするか?」
バスケはしたい。かといって高尾を知り合いになるのもちょっと、な…
「まっ、成るように成るか」
うだうだ考えても仕方ない。
後のことは未来の自分に任せよう!
「一緒に使わせてもらってもいいか?」
声をかけるまで気がついていなかったのか、振り返った高尾は目を丸くしている。
しばらくのち、人懐っこそうな笑みを浮かべた。
「かまわないぜ!」
「ありがとう」
場所を移動して、スペースを空けてくれた。
……この頃から高尾はハイスペックなのか。
予想していたとはいえ、こうまで自然にされると驚く。
まぁ驚いていたって仕方がないので、空けてもらったスペースに入る。
ボールが硬い地面につく軽快な音が気持ちいい。
きちんとしたコートでないと出ない音だ。
ドリブルをしながら動き回っていると、不意に視線を感じた。それも、かなり熱心というか、熱がこもった視線。
心当たりは、一人。
「あの、何か……?」
だいぶ昔に、同じようなことを経験したような記憶が……
「すげー! バスケうまいんだな!」
……キラキラしてるー
初めてバスケを見た祥吾もこんな感じだったな…
「俺とバスケやんねー?」
あぁ、こうして私の平穏はなくなっていくのか……