第4章 小学校低学年編
「乃亜ちゃん……?」
微睡みの中、外から優しい声がかけられる。
ぼんやりとしながら重い瞼を開くと、ぼやけて見えるママさんの顔。
「まま、さん」
ひどくゆったりとしながら撫でられる髪が、心地よい。
「ねぇ、乃亜ちゃん。私達は頼りないかしら?」
何を言っているのだろう。
頼りになるに決まっているのに。
「だけど、悩みを相談してもらえないくらいには、頼りないんでしょう?」
言えるはずがない。
どうせ、信じてもらえない。
「それは、本当に? 話を聞かなければわからないわ」
だけど、信じてもらえなかったら怖い。
「大丈夫よ。私達一族は、あなたのことを否定なんかしない」
信じられない。信じる理由がない。
「理由なんて必要かしら? 誰かを信じるのに」
何かがなければ、私は誰かを信じることなんてできない。
「私達と乃亜ちゃんには、明確な血の繋がりと家族の絆がある。それだけでは不十分かしら」
まだ、全てを話すのは怖い。だから、待っていてくれないか。
……甘えられるようになるまで、時間はかかるだろうけど。
「それでいいの。私達はいつまでも待っていてあげる。……大丈夫よ、愛しい私の女の子…」
そっと目尻にキスを落とされる。
温かい、ここは。安心していい場所だから。
睡魔の抵抗することなく、深い眠りに沈んでいった。