第4章 小学校低学年編
今日は珍しく祥吾とも良とも遊べない。
2人共予定があるらしい。
「ただいまー」
帰って誰もいない静けさにも慣れてしまった。
両親揃って忙しい人だからな。
ただ、今日みたいな誰とも遊ぶ予定が入っていない日は珍しい。私がなるべく一人にならないようにしていた所為なのだが。
「どうしても、一人になると余計なことまで考えてしまうからな……」
ランドセルを放り投げて、ソファーへダイブする。
横になって、天井を見上げた。
「私は、何のために生まれたんだろうなぁ」
バスケが好きな普通の社会人だった私。そこには少しオタク的な面も含まれていたけれど。
「何をしろっていうんだ……!」
わからないしわかりたくもない。
原作という運命がある限り、私には何もできない。
「できることなら、関わりたくなかった…」
登場人物たちには、会いたくなかった。けれど、出会ってしまった。
それが偶然なのか、必然なのかはわからないが。
「私には、何もできないんだよ」
頼むから、これ以上心をかき乱さないでくれ。
傷つくのは、もう嫌だ。臆病者でいい、卑怯者でいいい。
「頼むから放っておいてくれよ……」
じわりと溢れてきた涙の所為で視界が歪む。
もしもこの世界に神がいるのなら。私の意味を教えてくれ……!
そうしたら
「きっと、強くなれる。……弱い私なんていなくなる」
みんなが望む、『私』になれるはずだから。
「弱さなんて、必要ないんだ……」
そうして、追い詰められていく。
誰かに気がついてもらえるまで、心を傷つけていく。