第4章 小学校低学年編
「わぁ……っ! 乃亜さんすごい上手ですね!」
「まだまだ、だがな」
褒めてもらえるのは、純粋に嬉しい。
両親が多忙な人たちだから、なおさら。
「まだまだって……! とってもすごいじゃないですか!」
興奮しているのか、いつもの口癖もでてこない。
……ちょっと、恥ずかしいな……
「時間があれば練習してるからな。そこらの子よりは上手いと思うぞ?」
それでも、前世に比べれば全然できていない。
大人と子供。その差は大きく、未だに身体がうまく動かないことの方が多い。
「ほら。良も練習するぞ」
「はい! 楽しみだなぁ……!」
用意してあったもう一つのボールを手渡す。
あ、ちゃんと子供用の柔らかいやつだからな。
「まずはハンドリングからな」
「え、シュートじゃないんですか」
「ハンドリングができないとシュートもドリブルもできないぞ」
バスケだけではなく全てのスポーツに共通することだが、練習というのは地味なものなのだ。
「ボールを扱うことにならなくてはいけないんだ」
「そうなんですか……なんにも知らなくてスイマセンっ!」
「注意される度に謝ってたら持たんぞー」
スポーツというのは……茨の道なのだよ!
……すまん。ふざけた……
「とにかく、オーバーから覚えるぞ」
「オーバー?」
「あ、そこからな」
スパルタで行くからな。覚悟しろよー。
しばらくの間、白藤家の庭では小さな子供の悲鳴が聞こえてきたとかこないとか。
……手加減はしたぞ? ちょっと調子に乗ったがな!