第4章 小学校低学年編
小学校に入学してから数日。思った以上に楽しい日々を送っていた。
良は直ぐに謝るのが少々難点だが、普通に過ごしている分には楽しい。
ただ、ちょっと寂しいところもあるか……
「祥吾、今日も一緒に帰れないのか?」
隣の教室を覗き、相変わらず男の子ばかりに囲まれた祥吾に呼びかける。
「こいつらと遊びに行くから」
そっけなく返された言葉に、ほんの少し気分が沈む。
やはり男の子は男の子同士で遊びたいのか……
「あぁ、わかった」
いつか離れていってしまうのはわかっていたが、こんなに早いとは思っていなかった。
弟のように思っていたからか、予想以上に落ち込む。
……これが世に言う、子供が自立した時の親の寂しさってやつか……
仕方がない、今日も一人で帰るか……
とぼとぼと踵を返すと、くっと袖が引っ張られた。
「へ? ……良?」
可愛らしく袖をつかんで私を引き止めたのは良だったらしい。
上目づかいでこちらを見ながら、頬を赤く染める様はまさに美少女である。
「あの……よかったら、いっしょにかえりませんか……?」
思わず、顔が緩む。
「良さえいいのなら、一緒に帰りたい」
「はい! ありがとうございます!」
満面の笑みを浮かべて喜びを表す良の姿に、私もつられて穏やかな笑みがこぼれる。
「じゃあ、帰ろうか」
「はい!」
とても嬉しそうなその様子に、気がつけば祥吾のそっけない態度に沈んでいた心が上向いていた。
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「なんなんだよ……乃亜のやつ……」
「祥吾? 遊びに行かないのか?」
「行く」
あいつがいないんじゃ、バスケやったって面白くないのに……
「乃亜の、ばかやろー」