第4章 小学校低学年編
ふるふると震えながら謝り続ける彼の様子に、なんだかこちらがいじめている気分になってしまう。
「取り合えず落ち着いて」
「はっはい!」
これでやっと落ち着いて話ができそうだ。
「間違えてすまない。可愛かったからつい、な」
「いえ……いつもなので……」
それに……、と何か言いたげにちらちらこちらを伺う。
「どうした?」
「僕なんかより……よっぽどきみの方がかわいいとおもいますっ、すいません!」
……こんなにまっすぐに好意を向けられるとどうしていいかわからなくなる。
「あ、ありがとう?」
「僕なんかが……すいません!」
その様子がやっぱり可愛くて思わず頭を撫でる。
「え!?」
「あ、ごめん」
謝りながらも、思っていた以上に髪が柔らかくて止めはしない。
私の髪とは違う質感だ。
「恥ずかしいです……」
「髪が気持ちよくてな、つい」
大きくなったらまずいだろうが、まだ子供だから許されるだろう。
……変態とか、ショタコンなんかじゃないぞ! 断じて!
撫で続けていると、そっと手を掴まれる。
「…………」
無言だが、その顔はすでに真っ赤で。
ようやく自分が彼をかなり追い詰めてしまっていることに気がついた。
「すまない! ……君、大丈夫か?」
俯いてしまった彼が、私の言葉で顔を上げる。
「だいじょうぶです……すいません……」
謝る言葉にも力がない。
(まずい……! やりすぎた!)
「わっ、私は白藤乃亜だ! 君はなんて呼べばいい!?」
俯いていた顔を上げて、彼は私の目を射抜く。
「さくらい、りょうです……りょうで構いませんっ」
「りょう、だな」
良は私から目線をそらさないまま、頭に手を伸ばす。
「ん?」
「おかえし、です」
……彼の負けず嫌いの片鱗を見た気がした。
わあ、さらさらです。とか言ってるがそれどころじゃないんだっ、こっちは!
「あ……ふふっ、真っ赤。です」
(反則、だ……)
幾ら何でも歳下に頭を撫でられるのは恥ずかしくてたまらなかった。
しばらく動けず、先生が来るまで私は頭を、というか髪を撫でられ続けたのであった。