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七人目のキセキ 【黒子のバスケ】 ※修正後

第4章 小学校低学年編


季節は桜舞う春ーー
私はついに小学生になるのだ!

ここまでの道のりは長かった……。
あの羞恥にまみれた過去は忘れ去りたい黒歴史だ。

「乃亜ちゃん、忘れ物はない?」
「うん、大丈夫だ」

すっかり素の口調が定着して、周りには不思議に思う人はいなくなった。
いつまでも子供っぽい喋り方をするのには限度があったからな。特に私の精神面で。

傷ひとつない綺麗なランドセルを背負って、こんなに重いものだったかと前世を思い出す。

(それでも前世に比べれば軽いか。当然のことだがブランドものだし)

あの祖父母が吟味に吟味を重ねて選んだという赤のランドセルは、前世の私が背負っていたものよりはるかにいいものであることは確かだろう。

「さすが僕とママの子供だねー! とっても可愛いよ、宇宙一可愛いよ!」
「「気持ち悪い」」

ママさんと私にバッサリ切り捨てられたパパさんが床に沈む。
ここで可哀想だとか思って声をかけたら図に乗ることはすでに判明していることだ。

「さ、さあさあ! 早く向かわないと遅刻してしまうよ!」

……ほら、復活した。
まあ、早く向かわないと遅刻するのは確かだしな。

「ママさん、早く行こう?」
「そうね。おバカなパパは放って一緒に行きましょう?」
「そんな……僕を見捨てないでくれ……ママっ、乃亜……!」

床に崩れたまま手をこちらへ伸ばすパパさんを一瞥したママさんがにっこり笑う。

「このままお留守番してる?」

あ、パパさん灰になっちゃたぞ。

「……なにしてんだ、この家族」

開けっ放しになっていた扉から祥吾の顔が覗く。
ちなみにこの騒ぎを起こしていたのは玄関。
私を迎えに来たらしい祥吾から、この茶番が丸見えなのである。

「あら、祥吾くん。いらっしゃい」
「こんにちは。……いや、そうじゃなくて」
「気にしなくていいのよ? おバカさんのことなんて、ね?」
「……はい……」

なんとも言えない顔をしている祥吾の方を叩く。

「大丈夫だ。これがうちのいつもだからな」
「これのどこが大丈夫なんだよ……」
「慣れるさ」

ぐっと親指を立てて見せると思いっきりため息をつかれた。
なぜだ……?
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