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恋風

第9章 帝国の刺客




今日はチームをふたつに分け、河川敷と鉄塔広場で雷門サッカー部は練習することになった。円堂が先日仕入れてきた情報により、理事長室から円堂の祖父、大介の秘伝書を発見したのだ。雷門イレブンはその秘伝書の中の技『イナズマ落とし』を習得すべく、豪炎寺・壁山のサポートをすることになっていた。

円堂・壁山は秋、豪炎寺・風丸・染岡は花織、その他は河川敷にて春奈がサポートを行っているのだが。……花織は眉を顰める。この練習は見ているのも辛い。

豪炎寺が風丸、染岡の腕を踏み台にして高い位置からオーバーヘッドキックの練習をするというものなのだが踏み台役2人にとっても豪炎寺にとっても負担の大きい練習だ。ほかに方法がないとしても、もう少し良い方法がないのかと花織は思う。

「3人とも、少し休憩したら?あまり根を詰めるとよくないよ」
「月島、悪いが今やめるわけにはいかない。……ただでさえ時間が足りないんだ」

豪炎寺がゆっくりと腰を抑えながら立ち上がる。彼はこの練習を始めてからずっと3メートル近い高さからオーバーヘッドキックをし、着地を上手く決められないでいた。彼の身体は何度も何度も地面へと叩きつけられ、どんどんそのダメージが蓄積されていっているのだ。

「でも、もう1時間半も休憩なしで」
「花織、豪炎寺がやるっていうんだ。……それに俺たち、初戦で負けるわけにはいかないだろ」

諭す様に風丸が花織の肩を叩いた。その腕は赤く腫れあがっている。それはそうだ、サッカーシューズにはポイントが付いている。スパイクのポイントが針ではないとはいえ、彼らの腕が踏み台になるたびに豪炎寺の体重分、ポイントが彼らの腕に食い込み、そのうえ豪炎寺の蹴り上げる力によって皮膚も何度も傷つけられている。早く冷やした方がいいのは明白であった。

「でも、一郎太くんも染岡くんも腕がもう真っ赤だよ……!」
「これくらいどうってことねえよ、早く練習再開しようぜ」

染岡がさっと自分の腕に付いた砂を払い、その赤い腕を構える。染岡に続いて風丸も腕を構えようとした。しかし花織は風丸の腕をそっと止め、真面目な表情で3人の顔を見つめる。意を決した様な花織の瞳が3人を見据えた。
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