第7章 目に映る帝国
「やっぱり来てたんだ。とにかく、ベンチに行こう?ここじゃ危ないよ」
秋の言葉に半ば呆然とぎこちなく花織は頷く。秋はその答えだけで満足だったのか青髪の少女と2人で花織の身体を支えてベンチへと歩を進めた。
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「一郎太くんっ!!」
頭に受けた衝撃のせいで歪む視界の中で花織の声が耳へと入ってきた。一瞬幻聴かとすら思った。しかし徐々に鮮明になる視界に自分が望んでいた少女の姿がはっきりと映り思わず胸が軽くなる。たとえそれが帝国の奴らの誰かのついでだったとしてもだ。
しかし彼女がそのまま座り込んでしまったところを見ると酷く彼女を不安にさせてしまったのだと風丸の中で罪悪感が生まれる。しかしそんな思いは彼女に近付いたある人物によってかき消された。
「鬼道……?」
帝国学園サッカー部キャプテン、鬼道有人が花織の傍へと跪いた。どうやら鬼道は花織の頬へと手を伸ばしているようだ。風丸の中で泥状のどす黒い感情が増幅する。花織の想い人はまさか、鬼道なのではないだろうか――――。
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試合終了後、花織は鬼道に言われた通り、雷門中学の裏門で彼を待っていた。あの後、目金が試合放棄をしたことで、豪炎寺が試合に入り1点を帝国からもぎ取った。そして結果的には帝国が試合を放棄したことにより、事実上雷門は勝利を収めたという結果で試合は幕を閉じた。
そして雷門中学側が勝利に喜び合っているところを抜け出してきたのだ。雷門が勝利を収める……というのは少々微妙だが、試合放棄自体は帝国学園の中では決まっていたことなのだろう。きっと狙いは豪炎寺だったのだ、花織はそう思う。きっと彼のデータを取るための試合だったのだ……でなければ、帝国にとってこんな屈辱的な終わり方をするわけがない。
「月島」