第7章 目に映る帝国
風丸は辺りを見回して己の想い人を探す。どこにもいないのか……、花織。この頃全くと言っていいほど彼女と話をしていない。仕方ないことだが、花織が納得してくれるまでそっとしておこうと思ったのが間違いだったのだろうか。それでもどこかで期待していたのだ。
もしかすると、花織は自分の試合に来てくれるのではないかと。ひょっとすれば自分だけを彼女が応援してくれるのではないか……。だがやはり自分の一方的な想いではダメだったようだ。風丸は気を切り替えて帝国サッカー部の面々に目を向ける。
誰が花織の想い人だろう。
グラウンドに着いてそうそう鬼道は円堂に許可を取り、試合前のアップを始めた。しかしそれは円堂たち雷門サッカー部とは全く格が違うものだった。風丸は酷く不安な気持ちに包まれる。人数もそろっていないこのチームで勝てるのだろうか……?
「えんどうくーん!」
壁山がトイレに消えたあと、木野が新しい部員を連れてきた。目金か、風丸の不安な気持ちは増長する。アイツは運動が苦手だったはずだが。いやしかし、これで雷門イレブンは11人そろったわけだった。風丸はため息を吐く。こんなことで大丈夫なのだろうか。
***
「どうしたのかな?」
花織がぽつりと声を漏らした。豪炎寺がちらりと視線を花織に向ける。時間はとうに過ぎているはずなのに一向に試合が始まらないのだ。巨体の少年が校舎の方へと駆けて行っていたがそれが原因だろうか。
「豪炎寺くん」
「……なんだ?」
豪炎寺は短く返事を返す。花織は以前豪炎寺と話したときから気になっていたことを花織は唇から音として吐き出した。
「豪炎寺くんってサッカー好きなの?」
ぴくりと豪炎寺の瞼が痙攣するように一瞬揺れた。
「別に……。何故だ?」
「だって試合見を見るんでしょう、これから」
花織は首を傾げて問いかける。本心から言えば全くと言っていいほどそんなことは思ってはいない。きっと彼はサッカーが“好きだった”はずだ。でなければ以前のようにサッカーという単語に嫌悪の表情を見せることは無かっただろう。
「じゃあ逆に聞くがお前はどうなんだ」
「私は……」