第7章 目に映る帝国
風丸は本当にサッカー部へ行ってしまった。
まだ明るい空の下で花織はため息をつく。部活終了後は涼しく晴れやかな気持ちになるのが常なのだが、彼がサッカー部にいくといったあの日からそんな風には感じられなかった。
やはり男子陸上部で女子一人というのは仲介役がいなければ少し険しい。そうでなくとも風丸とか話ができないということが花織にとって心に影を落とす原因にもなっていた。もっとも彼を部活以外で彼を避けているのは花織なのだが。
花織自身にもただそれが虚しい行為だということはハッキリと分かっている。自分の一喜一憂に風丸を付き合せるというのはおかしな話だ。この一人ぼっちの帰り道も自分自身が作り出したもの……花織は自分自身の行動にため息しか出てこなかった。
「花織ちゃん」
「あき、ちゃん……」
背後から声をかけられて花織が振り向くとジャージ姿でサッカーボールを抱えている秋がいた。サッカー部はまだ練習しているのだろうか?花織がボールと秋の顔を見比べていると秋はふわりとほほ笑んだ。
「ちょっとお話ししない?」
「いいけど……。サッカー部の練習は?」
花織は怪訝そうな表情で質問を返す。普段マネージャーが選手の管理をしている部は特にマネージャーがいないと活動が回らないだろうに。秋はそれでも笑みを浮かべて花織を見ている。
「大丈夫、もう終わるから」
花織は”それなら”と小さく頷くと部室へ向かう秋に続いた。