第6章 雷門サッカー部
「……読めねぇ」
円堂との付き合いは長いが、円堂はここまで酷い字を書いただろうか。疑問に思いながら風丸は円堂に問うた。
「お前……、これ読めるのか?」
「うん、読めるよ。シュートの止め方が書いてあるんだ」
「へぇ……」
風丸が感嘆の息を漏らせば円堂は頷いた。
「それ書いたの、じいちゃんなんだよね」
「じいちゃん?」
円堂の言葉に思わず反応する。円堂との間でおじいさんの話題が出ることは初めてだった。風丸が首を傾げて円堂の方に視線を向けると、円堂は鉄塔を見つめて言った。
「ああ、俺が生まれる前に死んじゃってるけどね。昔、雷門サッカー部の監督だったんだってさ、その時作った特訓ノートらしい」
どこか遠くを見つめるような視線で円堂は呟く。それから円堂は風丸が最も気になっている帝国学園の話を始めた。
「帝国学園はスピードもパワーも想像以上さ。そいつらのシュートを止めるには、じいちゃんの技をマスターするしかないって思ってさ」
真剣に勝つことを考える円堂を見て風丸の口元が思わず緩んだ。やはり円堂は何時でもそうだ。ずっとこの芯の強さは変わらない。風丸は思う、正直サッカー部が活動してるのかさえ、今までわかっていなかった。それでもキャプテンの円堂はこんなに一生懸命、がんばってる。勝てることを信じて真剣に勝負を挑もうとしている。
いや、円堂だけじゃないだろう……。あの草の影に隠れてはいるが他の部員だってきっとどこかで勝ちたいと、せめて自分で望んで始めたサッカーをしたいと思っているはずだ。
「お前、本気で帝国に勝つ気なんだな」
「ああ!」
最初は……ただ、円堂を助けてやりたい、それだけだった。でも今は、純粋に円堂が魅せられたサッカーを俺もやってみたいと思った。
それに――花織の好きなやつも、サッカーやってる。ここに来てようやく風丸の決意が固まる。風丸は円堂に手を差し出した。
「お前のその気合い、乗った!!」