第6章 雷門サッカー部
監督と話をつけ、先輩方にも事情を説明した後、風丸は彼の幼馴染がいるであろう鉄塔広場へと足を運んだ。彼――円堂守はそこがお気に入りなのだ。広場の階段を上っているとドンっと大きな音が辺りに響く。円堂だろうか、風丸は足を速めて高台へと登った。
先ほどの衝撃音の正体はやはり円堂だったらしい。大きなタイヤのぶら下がった木のから数メートル離れたところに彼は倒れている。タイヤが振り子のように触れているところを見ると彼はこれに吹っ飛ばされたらしい。風丸は呆れたように肩を竦める。
円堂に歩み寄ろうと歩を進めているとふと視界の端に人影が映った。ちらりと目を向けた傍の草むらにはサッカー部員たちがこそこそと円堂の様子をうかがっているようだった。なんだ、やっぱり人望あるんじゃないか。そう思いながら地面に倒れている円堂を風丸は覗き込む。
「むちゃくちゃだな、その特訓」
「風丸!?」
円堂が泥だらけになった顔で風丸を見上げた。風丸は円堂の背を支え彼が立ち上がるのを手伝う。近づいてみて初めて気が付いたのだが円堂は木に吊り下げられたものと同じくらいの大きさのタイヤを背負っていた。
「変な特訓、してるんだな」
「ああ、あれだよ」
そういって円堂はベンチの上に置いてある一冊のノートを指差した。そしてノートを拾い上げると風丸にそれを差し出す。ノートの表紙には何かよくわからないものが書かれていた。
「見てみろよ!」
ニコニコと泥だらけの顔を綻ばせて円堂は言う。その言葉に頷いた風丸はノートを開いた。中を開いてみると表紙同様、何が書いてあるかわからなかった。思わず眉間にしわがよる。中に書かれている文章はミミズの這ったような字、と表現するのでさえ過剰評価かと思うような字で書かれていた。いや、もはやこれは字ではない、暗号だ。