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恋風

第6章 雷門サッカー部



部活が終了した後、一度男子陸上部部室に陸上部の面々は集められた。無論、花織は女子陸上部の為関係はない。しかし風丸が選ばれるかどうかはとても気になった。

「じゃあ今日は、来週の大会の選抜メンバーを発表するぞ。月島は女子だから後から先生に聞いてくれ」
「はい」

男子陸上部キャプテンの言葉に花織は小さく頷くと陸上部の男子メンバーの一番後ろに立って選抜の発表を待った。選手が落ち着いているというのに花織の方が落ち着かない様子でちらちらと風丸に視線を寄せている。次々と先輩方の名前が呼ばれていく中、花織は風丸の名前が呼ばれるのを待つ。3年生の最後の大会だ、もしかするとたとえ全国クラスであったとしても風丸の名前は呼ばれないかもしれない。花織はぎゅっと目を瞑って祈る、どうか風丸が選ばれるようにと。

「じゃあ短距離な。……風丸、西野……」

風丸、と名前が聞こえた瞬間、花織はばっと顔をあげた。まるで自分の事のようにじわじわと喜びが湧きあがってくる。きっと彼も喜んでいるだろうと花織は風丸の方へと視線を向けた。しかし彼は嬉しそうにするでもなく、ただ真剣に考えているような表情をしていた。

どうしたのだろう……、花織の顔も自然と曇る。彼は今日の練習の時から難しそうな顔ばかりしていた。

「以上だ。……じゃあ各自」
「先輩!!」

唐突に風丸が大声を上げる。それに驚いて一斉に陸上部の選手たちが風丸を見た。風丸はふっと小さく息を吐くと真剣そうな面持ちで言葉を紡いだ。

「俺、辞退します」

ざわり、と部室内に衝撃が走る。部室にいた選手たちが唖然として風丸を見た。あの宮坂もあんぐりと口をあけ、風丸を凝視している。花織も動揺を隠せないまま風丸を見つめた。何故、どうして、という言葉が胸の中で反芻する。

「今から監督の方にも伝えに行ってきます。……すみません、先輩」

風丸は選手たちの輪を抜けて扉の方へと向かった。思わず花織も風丸の後を追いかけて部室を出る。彼が不可解な行動をした理由を知りたかった。風丸の元へ駆け寄り、花織は風丸の手首をつかんだ。
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