第6章 雷門サッカー部
サッカー部は大丈夫だろうか?花織は軽くストレッチをしつつ、サッカー部の事を気にしていた。半田たちがサッカーができなくなるのは可哀そうだと思う。話しに聞けば今はあれほど締まりのない部になってしまっているのだが、去年までは部員3人でも必死に練習をしていたと聞く。だからこそ、サッカーできなくなるのは可哀想だと思った。しかしだからと言って花織に何ができるわけでもない。
その時、ちらりと目の端に大きな看板が入った。ゆっくりとそちらへ目を向ければサッカー部のユニフォームに身を包んだ円堂が風丸と話をしているようだ。
花織が風丸の方に駆け寄ると円堂は既に何やら大きな看板を持って走り去っていた。どういうことだろう、ユニフォームを着ているということは廃部は免れたのだろうか。
「一郎太くん、円堂くんどうしたの?」
花織が問うと風丸は何故か花織から目を逸らしつつ答えた。
「ああ、ちょっとな」
「何かあったの?」
花織が風丸の顔をそっと見つめる。風丸は少しだけ顔を赤くして私を見た。そして諭す様に花織の肩を叩いて花織の横をすり抜ける。
「何もないよ。さぁ、走ろうぜ」
「うん」
少し解せない面持ちをしたまま、花織は風丸の後についていく。今日は大きな夏の大会の選手発表の日だ。だからこそ、いつにも増して時間が無い。もっとも花織は女子陸上部なので関係が無いと言えばないのだが。
花織の男子陸上部の参加は事実上、許可が下りていた。あの事件の後、顧問たちの間でもあの環境で花織を女子陸上部に置いておくのを避けておくべきだと感じたのだろう。だからこそ、花織は練習時のみ男子陸上部に身を置かせてもらい、彼らと同じ練習量をこなしていていた。
風丸の様子は気になるが今は練習が大切だ。特に風丸は選手に選ばれるかどうかの瀬戸際なのだから今日は成果を出しておかなければいけないだろう。