第6章 雷門サッカー部
「今日から我が雷門中に転入となった豪炎寺修也くんです。前は木戸川清修中学にいたんですよね」
「はい」
豪炎寺は特に詳しい自己紹介はしなかった。担任教師がいくつか質問を掛けていたが花織はそんなことよりも先ほどの風丸の表情の方が気にかかり、その後は全く話を聞いていなかった。
***
「一郎太くん、何かあったの?」
HRが終わると同時に花織は風丸の元へと歩み寄り風丸に声を掛けた。
「別に、なんでもない」
少し顔を逸らして風丸は目を伏せた。その表情は先ほどと同じく少し不機嫌そうでどうしてか罪悪感を感じる。
「私……何か悪いことした?」
「……花織、さっき円堂見て笑ってただろ」
「え?」
想定外の反応で花織は思わず変な声が出た。それは何だろうか、自惚れかもしれないが彼は嫉妬してくれていたのかもしれないと花織は思う。
「あの、それって……?」
「悪いか?」
赤面して彼がこちらを向いた。先ほどの推測はどうやら当たりのようで花織も風丸と同じように頬が赤く染まる。花織は誰にも悟られないようこっそりと風丸の手を握り、俯き加減に言葉を返した。
「嬉しい……、かな」
「本当か?」
「うん」
花織が微笑むと風丸も照れくさそうに小さく微笑んだ。こんな些細で小さな会話が嬉しくて仕方がない。初めて報われた恋なのだ、どんなことでも大切にしたい。花織がそう思いながら風丸を見つめていると花織の背後から声が掛かった。
「花織ちゃん!円堂くんが豪炎寺くんに声をかけるらしいから一緒に来ない?……あ、ごめん。お邪魔だったかな?」
にこにこと秋が見つめる先は、風丸と花織のつながれている手で、その視線に気が付いた2人は慌てて手を放すと双方顔を赤らめる。花織は誤魔化す様に短い髪を髪に掛け秋に返事を返す。
「う、うん、行く。じゃあ一郎太くんまた後で」
「ああ」
そういって風丸に手を振り、花織は秋の後をついて行った。円堂の元へ向かう途中、秋はそっとと小さな声で花織に声を掛ける。