第5章 エールを君に
あとは任せた。
なんて口ではどんな気障なセリフを吐けようと半田の心は穏やかではなかった。どんなに取り作ったって胸が苦しい。だが決めた、決めたんだと自分に言い聞かせる。
「半田。君、カウンセリング室に忘れ物してるでしょ?取ってきなよ」
素っ気なくマックスが頭の後ろに手を組みながら言った。半田はカウンセリング室に何も持って行ってないから忘れ物はするはずない。半田は怪訝そうにマックスに視線を寄せる。そんな半田にぼそりとマックスは呟いた。
“一人になってくれば?”
そう囁かれたマックスの言葉に半田は苦笑する。どれだけ取り繕っても普段の彼を知っているマックスには分かってしまったようだ。たまにはマックスのいう事を聞くのも得策だろう……。半田は二人に別れを告げて屋上に向かった。
屋上にたどり着くとフェンスにもたれかかり、半田は空を見上げた。空の青さに圧倒されながら半田は思う。……花織と仲良くなった時からアイツは風丸のことが好きだなんてことわかってた。
しかし、そんなことで簡単に諦められるわけがない。恋など小学生の時から何回もした。しかしここまで複雑で叶わない想いを抱いたのは花織に対してが初めてだったのだ。
……ほかの男に任せるなんて。自分の好きな人さえ自分で守ってやれないなんて。半田は笑う、だから半端だって言われるんだ。そう思いながらも半田の所は少しすっきりとし始めていた。
花織が幸せなら、それでいい……。たとえ大袈裟であろうがそう感じた。
「……好きだったんだ、花織……っ」
半田の頬を静かに涙が伝う。悔しいのか、悲しいのか……何が何だかもうすでに分からなかった。涙を抑えようとと乱暴に目を擦り半田は目を伏せる。
明日からは、今までと変わらずに友達でいよう。