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恋風

第5章 エールを君に




「おい、半田」

HR終了後、風丸は半田とマックスのもとへすぐさま歩み寄った。教室にはすでに誰もいない、ふたりは先ほどからずっと何やら真剣そうに話し合っていた。

「ああ、風丸か……。何か用か?」
「あのさ、……月島はどうしたんだ?」

風丸の言葉に半田がぐっと拳を握る。どこか不機嫌そうな表情をしながら顔を風丸から逸らした。風丸は怪訝そうに眉根を寄せる、一体、なんだっていうんだ?

「花織、陸上の先輩に暴力を振るわれてた。部室で」
「!!……どういうことだ?」

マックスの静かな声に風丸が目を見開く。花織に虐められる要素などどこにもないだろう、それに女子陸上の先輩たちはそんな人たちじゃないはずだ。

「お前を振ったからだって。……だからアイツら花織に」
「まあ……、それと花織の能力があいつ等より上だっていうことに劣等もあったんじゃないかって僕は思うけど」

マックスはともかく半田は酷く腹を立てているようだ。風丸は半田がここまで腹を立てているのを見たことが無かった。そんな半田の前に立ちマックスが風丸を見上げる。その眼はいつもの無気力さは無く、とても真剣そうだった。

「風丸、……花織は君のことが好きみたいだよ」
「え?」

風丸はマックスの言葉に思わず声を漏らす。意味が分からなかった、自分はたしかに昨日振られているのに。風丸の瞳が動揺に揺れる。風丸が呆然としていると半田がマックスの言葉を繋いだ。

「花織は……、帝国の時に好きだったやつのことが今でも好きで。……だから混乱してる」

半田はそういうと花織がさっきふたりに話したことを手短に風丸に伝えた。花織がどんな気持ちで風丸の告白を断ったのか、それを聞いて風丸は深く胸が痛むとともに、彼女に想われている男に対して何かわからない、どす黒い感情が溢れるのを感じた。そんな風丸をちらりと一瞥するとマックスは続ける。

「花織は中途半端な気持ちで風丸の告白を受けたくなかったんだよ。髪を切ったのも君のことを意識しないように……、だって。……先輩たちのせいで捻挫までしちゃうし」
「捻挫!?」

愚痴るように呟かれたマックスの言葉に思わず風丸は叫んだ。花織が怪我をした、という事実にまるで臓腑を掴まれたような感覚に陥る。

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