第5章 エールを君に
風丸は授業中だというのに、窓の外をぼんやりと眺めていた。普段の風丸はきちんと真面目に授業を聞いている生徒だ。なのに今日はどこか上の空だった。
彼は花織に振られてから心に何となくぽっかり穴の開いたような感覚を覚えていた。俺はそんなにアイツのことが好きだったのか、風丸は苦笑する。
続けて外を眺めていれば授業中だというのに階下に生徒の姿が見えた。どういうことだろう、誰かが人をおぶっているようだ。風丸の中に一人の人物が浮かび上がる。あのおぶわれているほうの短い髪、どこか見覚えがあった。
(月島……?)
そう思っている内にふたりは校舎の中へ入っていった。その人影が花織かと疑惑を抱いた瞬間、風丸のなかで黒い感情が湧きあがった。誰だろう、気になって仕方ない。……もしかすると花織の恋人かもしれないと思うと酷く腹が立つ。
よくよく考えると花織も半田も教室にいない。どういう事だろう、マックスもさきほど廊下を歩いているのが見えた。そういえば木野がさっき教室を出て行ったような……?
だんだんと周りの事が気になってくる。先ほどの黒い感情よりも花織がそこにいないことの不安の方が大きくなってきた。そわそわと風丸が辺りを見回していると教室の戸が静かに開いた。
「遅れてすみません」
どこか悩むような表情で半田が戻ってきた。ちらと時計を見ると授業が終わる数分前。今日は職員会議のため、五時間だからこの授業で終わりだ。HRが終わったら、半田たちの所へ行ってみよう、風丸はそう思った。