第5章 エールを君に
マックスの言葉に頬を膨らませた半田は花織の前で片膝を地に着け、花織に背を向けた。
「乗れよ」
「え、悪いよ。そんな、私重いのに」
ぐずぐずと涙を拭いながら花織は反論する。じれったく思ったのか、マックスが半田の方へ花織の背を押した。
「きゃっ!!」
小さく悲鳴を上げて花織は半田の背中に抱きつくような形になる。花織が動揺している内に今は半田に任せなよ、とマックスは花織の頭をぽんぽんと軽く撫で一足先に部室から出て行った。
「今は半田に任せなよ」
どうしてか寂しげに微笑んだマックスの言葉はどこか花織の印象に残った。残された半田がさて、と花織をおぶって立ち上がる。
「俺たちも行こうか」
「うん……。ごめんね、重いでしょ?」
そんなことない、半田はそう言って笑う。花織は落ちないようにぎゅうっと半田にしがみ付いた。いや、理由はそれだけではないかもしれない。風丸のことが好きだって気づいた直後に不謹慎だが、ただ人のぬくもりに触れたかった。
「半田くん……。ありがとう」
陽の光が眩しくて花織は半田の背中に額をぶつけた。おう、と慌てた様子の半田の声が無性に可笑しくて花織はさらに半田にしがみ付く。ちらりと見上げた半田の耳は赤かった。しかしその様子を教室から風丸が見ていたことに、2人は全く気が付かなかった。