第5章 エールを君に
花織の話は涙交じりで何度も中断しかけた。しかし、半田もマックスも黙って聞いていてくれた。最後まで花織が話し終えると半田が優しく花織の背を撫でた。
「……だから、怖かったっ……。風丸くんにもいつ拒絶されるか分からないから……」
今は確かに、風丸は自分のことを好いてくれるかもしれない。だがいつか、鬼道のように酷く拒絶されてしまったら……?そのことを考えるだけで花織の心は酷く苦しくなった。それにどう足掻いても鬼道への好意は未だ自分の中にある。何かにつけてやはり鬼道がここにいたらどうだろうと思ってしまうのだ。
「だから髪を切ったの……。風丸くんとお揃いになる髪を……、切ってしまえばいいと思った。そうすれば……、彼のことも何もかも踏ん切りがつくと思ってた」
「花織……もういい」
半田が花織の言葉を止めようと声を掛ける。
「でもダメだった……!彼の事ますます意識して……。罪悪感で潰れそうで」
「もういいから!!」
半田が声を張り上げて叫んだ。再び部室に沈黙が走る。そして無言だったマックスが口を開いた。
「……今は思いっきり泣いていいと思うよ」
その言葉に花織は嗚咽を漏らして泣いた。涙で顔がぐちゃぐちゃになるのもお構いなしだった。ひとしきり泣いた後、まだ泣きじゃくっている花織へマックスが声を掛けた。
「もう少し落ち着くまで……と、言いたいところだけど、さすがにもう行かないと。花織、立てる?」
マックスが花織を心配そうにのぞき見た。花織は頷いて立ち上がろうとしたが、足に体重を掛けた瞬間ずきりと足が痛んだ。思わずしゃがみ込んで足首を押さえる。そういえば、先輩に蹴られたときに酷く足が痛んだことを思いだした。
「仕方ないなぁ……。半田、運んでやりなよ」
「お、俺が!?」
多少狼狽しながら半田がマックスを見た。マックスはいつものように無関心そうに花織の傍に身をかがめている半田を見下ろした。
「君だったら先生に遅くなった理由、説明できないでしょ?だからだよ」
「……分かった」