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恋風

第4章 過去の面影



鬼道の前から逃げ出した後、自然と花織の足は鬼道が教えてくれた秘密の場所へと向かっていた。

サッカー部の練習が一望できる、鬼道と花織以外の誰も知らないこの場所。出会ったばかりの頃、練習が見たいならと手を引いて連れてきてくれた。その場所に。

目から零れ落ちる涙を堪えようとしても止まらない。ただただ胸が痛かった、いくらなんでもあんなこという人だとは思わなかった。しかし自分に彼を批判する資格がないことは分かっている。実際は勝手に告白して、勝手に振られて逆上してるだけ……。身勝手なのはむしろ自分の方だった。

でも、諦められない。あれだけ彼に釣り合えるような人になろうと思ったのだから。あれだけほかの人に嫌われても我を通したのだから。そして鬼道のくれた優しい言葉の数々をはっきりと覚えているから。

”お前とここで話すことのできる時間は、俺にとっても楽しみなんだ”

この場所で彼が掛けてくれた言葉の一つを思い出す。どれだけ冷たいことをいわれようとその記憶がある限り、花織は鬼道のことを嫌いにはなれそうになかった。
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