• テキストサイズ

恋風

第4章 過去の面影



沈黙を破ったのは5時限目開始のチャイムの音だった。それを引き金にマックスが花織の傍へ歩み寄る。半田は花織の身体を抱えて花織の顔を覗き込んだ。

「花織、大丈夫か?」
「まったく、行かないほうが良いって僕は言ったのに」

マックスが花織の手を引き、彼女を立ち上がらせようとしたが花織は足に力が入らずその場にぺたんと座り込んでしまった。その瞳からはぽろぽろと大粒の涙が零れ落ち、頬を伝っている。泣いている理由はなんだろうか、きっと先輩たちの事ではないだろう。半田は花織の表情を伺いながら心配そうに問いかける。

「泣くなよ。何があったんだ?」
「ゆっくりでいいから、話してみてよ」

花織は嗚咽を漏らしながら頷いて、昨日の出来事からすべてを話し始めた。マックスたちの答えを待てなかったこと、風丸に想いを告げられたがそれを拒否したこと、そして先輩たちの言葉を。話を聞いた半田は怪訝そうに顔を顰めていた。

「何で風丸のことを振ったんだよ。好きなんじゃないのか」
「私が……バカだったから。自分の気持ちを処理できなくて、彼を傷つけたの……」
「どういうこと?」

マックスが先を急かすような口調で澪に問うた。花織は涙を堪えながらまだ誰にも話したことのなかった“あの人”のことを2人に話しはじめた。

「私には好きな人がいるの……」

花織は涙声で相手の名前は隠しつつ語り始めた。
/ 333ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp