第4章 過去の面影
「は、半田くん……マックスくん。……どうして、ここに」
「大丈夫か!!花織!!」
花織の掠れた声が彼らに届く前に半田が花織へと駆け寄り、その上半身を抱きかかえる。かなり土埃に制服は汚れていたが、あまり目立った外傷がなさそうな花織を見て半田は微かに安堵の息を漏らした。
「やっぱりね……。先輩たちはこんなことしてどうなるか、わかってるんですか?」
普段無気力そうなマックスが見たこともないような鋭さで先輩たちを睨み付けた。花岡らは2年生ふたりが増えたところで関係ないと思っているのだろう。高圧的にマックスをそして花織を抱えた半田を睨む。
「あんたらが来て、何だっていうの?あんたたちこそ、先輩に歯向かってどうなるかわかってんの?」
それに殴りかかりそうになる半田をマックスが不敵に笑いながら止めた。
「先輩たちこそ、僕たちが二人だけで来ると思ってるんですか?」
どういう意味だ、と先輩たちはざわざわと動揺している。そのときすっとマックスの後ろから体育教師がやってきた。
「お前たち!何をやっているんだ!!」
教師が現れると同時に、先輩たちの顔が青ざめる。にやりとマックスが笑った。彼はあらかじめここに来る前、一か八か陸上部でいじめがおこっていると教師に告げ口をしていたのだった。
「せ、先生!違います、これは……っ」
「わけは、教育相談室で話してもらおうか。松野、半田。月島は後からでいいからカウンセリング室に連れてこい」
弁解しようとする先輩たちを一蹴して半田とマックスに教師はそう言った。マックスが小さく頷いて部室を出て行く先輩たちを見送る。3人だけの部室には静けさだけが残った。