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恋風

第4章 過去の面影




花岡が一気に花織に捲し立てた。花岡の言葉が鋭く花織の胸に突き刺さった。

確かに自分のせいで彼を傷つけたのは事実だ。……それでも私は彼の気持ちを軽く扱いたくないから彼の申し出を断った。間違ってないはずだ、そう思うのに花織の心は鈍く痛んだ。

「何とか言えよ!!」

つかつかと花織に歩み寄った花岡が思い切り右腕をスイングさせ花織の頬を狙った。刹那、花織の頬に鋭く痛みが走る。一瞬、何が起こったのかよくわからなかった。

「……!」

思わずよろめいて頬に手を当てる、ジンジンと頬が熱かった。続いて誰の足かは分からなかったが、それが花織の腹に命中した。それを引き金に全員が花織の身体を狙って攻撃した。

「大体、二年のくせにアンタ生意気なのよ!新しく入ってきたくせに勝手に私たちをかき乱さないで!!」
「ぐっ……!」

酷く身体が痛む。地面との摩擦で生じた擦り傷からは血が滲んでいた。しかし、花織が最も痛みを感じているのはそこではない。何よりも痛いのは心だった。

風丸が助けてくれたら。あれほど自分が酷い仕打ちをした風丸に花織は助けを求めていた。初めて一緒に帰った時、自分の危険を顧みず自分を助けてくれた彼の事を。来るはずのない助けを心のどこかで待ち続けていた。そしてやっと気が付いた。

自分が本当は風丸のことを好きだということ。どれほど鬼道のことを恋焦がれていたとしてもそれと同じように風丸にも自分が焦がれているのだと。体中に走る痛みが益々彼への助けを所望した。瞬間、足に痛みが走り同時に嫌な音を立てた。

花織は足首を押さえて身体を丸める。今までの経験からきっとこれは捻挫だろうとどこか冷めた感情でそう思った。しばらく走れないかもしれない。……でもそのくらいが自分への制裁としてもちょうどいいかもしれないな、そんなことを思っていた時だった。

部室に陽の光が差し込んだ、先輩たちの手が止まる。攻撃がやんだことに恐る恐る目を見開けば、そこには自分の良く知る人が陽の光を後光のようにまとって立っていた。花織は驚き目を見開く。
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